「ショートパンツにはハイソックスを着用すること」厳しいゴルフ場では売店でハイソックスを買わないとプレーさせてもらえないこともあります。
でも、なぜこのようなドレスコードがあるのでしょうか。
夏の暑い時だからこそ涼しさを求めてショートパンツをはいているわけで、ハイソックスをはいてしまうと涼しさも半減してしまいます。
現在ではパブリックコースなどほとんどのゴルフ場でこのルールがあるところはなく、見た感じも違和感はないので、これを頑なに守っているゴルフ場があることは考えてみると不思議です。
なぜそのようなドレスコードがあるのか、本当に必要のあるルールなのか調べてみました。
ゴルフ発祥の地にドレスコードの秘密があった
調べてみるとゴルフ発祥の地、英国のリンクスコースにその秘密がありました。
諸説あるようですが、スコットランドの羊飼いが棒で石ころを転がしモグラの穴に入れて遊んだのがゴルフの始まりと言われています。
その後、18世紀中頃にはエジンバラとセント・アンドルーズにゴルフクラブが設立され成文化されたルールが定められました。
その頃のゴルフ場は、現代のセントアンドリュースに代表されるリンクスコースでした。
リンクスには「ヒース(heath)」という常緑低木の植物が自生しています。その他のリンクスの植物としては「ハリエニシダ(Gorse)」も有名です。ハリエニシダは名前の通り、葉の部分が硬く針のようになっている植物です。
このような植物が生い茂り、現在よりも自然に近い状態だったコースでゴルフをするための当時のプレーヤーの服装が、ニッカボッカーズスタイルというものでした。
ニッカボッカーズスタイルとは、スラックスの丈が膝までの長さで、膝で裾を絞り、その下はロングソックスというスタイルでした。
ニッカボッカーズスタイルの本来の目的は芝がぬかるんでいるときに、ズボンの裾が泥だらけになるのを防ぐためと言われています。
また、この服装ならヒースやハリエニシダから足を守ることができました。
現在でも本場のリンクスでプレーする時にショートパンツにショートソックスだと脚がむき出しでヒースに傷つけられてしまいます。
この英国スタイルが「ショートパンツにはハイソックス」というドレスコードの起源のようです。
日本のゴルフ場で必要か?
どうやら「ショートパンツにはハイソックス」は英国スタイルを輸入したもののようです。
しかしながら、日本のゴルフ場にはヒースやハリエニシダは見当たりません。
それどころか、よく整備されたほとんどの日本のコースには余程大きく曲げて、無理をして藪の中へボールを探しに行かない限りは、足が傷つく心配のある場所はなさそうです。
ハイソックスなんて履く必要ないじゃないかと思ってしまいます。
また、ショートパンツ+ハイソックスをオシャレに着こなすのは、スタイルの良い英国紳士ならにまだしも、普通の日本人には難易度の高いコーディネイトです。
ショートパンツにはショートソックスの方がさっぱりして日本人には似合うような気もします。
「すね毛を出すのはみっともないから」などの理由もあるようですが、それほど説得力もありません。
結局は、英国の伝統に憧れて形式を愛する大人が作った合理的ではないルールのように思えます。
理由ははっきりしないが
なんでも合理的であれば良いというわけでもないでしょうし、そもそも服装について厳密な線引きをすることは難しいのでわかりやすいところでルールを決めるということは悪いことではないように思います。
また、ヒースはなくても夏の日本のゴルフ場には蚊やブヨ、アブがいます。
ハイソックスはそんな虫から足を守る役割を果たしてくれます。全く役に立たないものでもないわけです。
メンバー中心のゴルフ場ならばメンバーの合意がある限りは、合理的でなくとも独自のルールを頑なに守っていくというのも良いことなのではないでしょうか。
ちなみに「ソックスの色は黒やネイビーなどの落ち着いたもの」というドレスコードもあります。
白の靴下は海外では子どもが着用するものとされており、紳士の服装は望ましくないということだそうですが、こちらも少なくとも日本ではおかしなルールですね。