ゴルフを上達させる上で避けて通れないのがスイング時の「タメ」の話です。
ゴルフをプレイする人なら一度は聞いた事のあるタメですが、タメとは一体何なのか、感覚的にはわかっていても論理的に説明できる人は少ないかもしれません。
この記事ではタメについて、それはどういったものなのか、身につける為にはどうしたら良いのか解説します。
そもそも「タメ」とは何なのか?
ゴルフのスイングについてよく言われる「でんでん太鼓のように打つのが理想」という言葉があります。
でんでん太鼓とは、手で持つ柄が取り付けられた小さな太鼓の両側面に、紐で小さな球がとりつけられた、日本の伝統的なおもちゃです。
でんでん太鼓はくるくると回す事で、遠心力によって球が振り回され、ポンポンと太鼓が打たれる仕組みになっています。
ゴルフのスイングをでんでん太鼓のようにすると良いというのは、この太鼓を打つ仕組みが、ボールに適切なインパクトを与える技術にそっくりだからというのがあります。
でんでん太鼓の柄は人間の背骨、紐は腕、球はクラブのヘッドで、太鼓はゴルフボールとして考えてみましょう。
柄(背骨)を回す事で、紐(腕)は軸に巻きつくように遅れて動きます。
さらに遅れて球(クラブのヘッド)は動き、一番スピードに乗った時点で太鼓(ゴルフボール)にヒットします。
ゴルフのスイングにおける「タメ」とはまさにこれの事で、でんでん太鼓の柄(背骨)を回してから、球(クラブのヘッド)が太鼓(ゴルフボール)を打つまでの、時間差の事を言います。
このタイムラグが大きければ大きいほど球(クラブのヘッド)には大きな力が加わり、太鼓(ゴルフボール)を強く打つ事となるのです。
ゴルフのスイングの際にタメを作る事は、打った時ゴルフボールに大きな力が加わる=飛距離が伸びる事に繋がります。
「でんでん太鼓のように打つのが理想」というのは「飛距離を伸ばすためにはタメを作ったスイングをするのが理想」というのと同じ意味なのです。
「タメ」はどうやったら作れるのか?
スイングには一人ひとりのクセがあり、一度身に付いたスイングを矯正するのは、なかなか大変です。
そのため同じタメを身につけていない人の場合、熟練のプレイヤーより初心者の方がタメの作り方を身につけやすいといわれています。
スイングにタメを作る練習として有名なのが、ゴルフクラブと同じくらいの幅を持った「バスタオル」を用いる方法です。
練習方法は簡単です。まずはバスタオルを細長く棒状に伸ばし、片側の端を球状に結びます。
そして逆端をいつもゴルフクラブを握っているように握り、アドレスの状態に入ります。
バスタオルの球状になった部分を体の正面の地面に置いてからバックスイングに入りますが、この際、通常のスイングと同じようにではなく、球状になった部分を前方に振り出してからバックスイングを行います。
球状の部分は背中に向かって飛んできますが、それが体に接触する前に、普段のスイングと同じフォームでスイングをします。
そうすると、球状になった部分はスイングの動作から遅れて付いてくるはずです。
この時間差こそが増幅された「タメ」になります。
グリップに伝えた力がクラブのヘッドまで時間差をもって伝わる事で、腕の力の他に地球の重力と遠心力が加わり、ボールを最大限遠くまで飛ばすエネルギーを生むのです。
この練習をゆっくり何度も繰り返す事で体に「グリップに力を伝えてから遅れてクラブヘッドがついてくる感覚」を覚えこませます。
反復練習となりますが、これはタメを持ったスイングを習得するのに非常に有効的だといわれています。
美しい「タメ」を持つプロゴルファー
タメを身につけるには、お手本としてプロゴルファーのスイングを研究する事も大切です。
プロゴルファーのスイングフォームは飛距離を出すために最適化されており、もちろんタメについても最大限利用したものとなっています。
美しいタメを持つプロゴルファーとして挙げられるのが韓国女子プロゴルファーのアン・ソンジュさんです。
ゆったりと力みのないバックスイングから、クラブヘッドを最大限遅らせて振りぬかれるスイングは、タメを利用したインパクトの好例として挙げられます。
トップで作ったタメを抜群のタイミングで切り返し、背骨の捻りから生まれたエネルギーと併せてボールに叩きつけるため、単純なパワーだけではとても考えつかないほどの飛距離を稼ぎだす事ができるのです。
タメを利用したスイングのお手本として、是非参考にしたいプレイヤーといえます。
「タメ」の作り方を身につけ、ゴルフをもっと楽しくしよう
筋力が足りていなかったとしても、スイングの「タメ」をきちんと身につける事で、ボールの飛距離は飛躍的にアップします。
きちんとしたタメを身につける為には地道な反復練習が必要となりますが、やる価値は十分にあるといえるのです。
たとえ初心者でも、ポイントを押さえたスイングを行うことができれば、熟練のプレイヤーに飛距離で一方的に負けてしまうという事は少なくなります。
習得するのは大変ですが、タメを身に付けた暁には、あなたにとってゴルフは一段も二段も楽しいスポーツになる事でしょう。