心を揺さぶるドラマ、世界を舞台に繰り広げられる極限の戦い
グリーン上でプロゴルファー達は私たちに様々な感動の名場面を見せてくれます。
皆さんはそんな偉大なプロゴルファー達を称える顕彰があるのをご存じでしょうか?
日本プロゴルフ殿堂
本記事では
- 日本プロゴルフ殿堂とは何か?
- 殿堂入りの基準
- 3つの部門紹介
- 殿堂入りを果たしたプロゴルファー
4つのトピックで日本プロゴルフ殿堂を詳しく解説いたします!
深く知れば知るほど、そこにはゴルフを愛する様々な人達の想いが溢れていました
日本プロゴルフ殿堂とはなにか?
日本プロゴルフ殿堂は
- 日本プロゴルフ協会
- 日本女子ゴルフ協会
- 日本ゴルフツアー機構
の3団体が結集し2010年に発足。役員と会員によって構成されています。
法人会員には富士フィルム、電通、BRIDGESTONE、TV朝日など様々な種類の企業が並んでいます。
主な目的は2つ
- 偉業を成し遂げプロゴルフ界に名を残したプレーヤー、そしてプロゴルフ界に多大なる貢献をした人の顕彰
- 過去の記憶を掘り起こし、失われてゆく記憶や記録を将来に残す活動
偉業を称え、未来を拓く。ゴルフから
をスローガンに殿堂入り選手を表彰し、未来に記憶と記録をしっかり残すために誕生しました
ゴルフ人口の増加にも重要な役割を担う
殿堂入り選手と聞くと、どんなスポーツが思い浮かぶでしょうか?
特に有名なのは野球とボクシングではないでしょうか?
- 野球殿堂(日本):1959年創設
- 世界ボクシング殿堂:1980年創設
数十年の歴史がある野球やボクシングに比べると、日本プロゴルフ殿堂は2021年現在で誕生11年目、まだまだ歴史は浅いです。
日本におけるゴルフ人口は減少傾向にあります。2001年の約1300万人だった競技人口はその後の20年間で約半分まで減少。
この減少傾向に歯止めをかけるのも日本ゴルフ殿堂の一つの大事な役目ではないでしょうか?スタープレーヤーはいつの日も次の世代の憧れの的。
しっかり選手の偉業を称え、記憶に残していくことはプロスポーツの発展には欠かせない事なのです。
1920年福井覚治さんが日本のプロゴルファー第1号になってから約100年
2021年には松山英樹プロが日本ゴルフ界の悲願でもあった
メジャー4大大会の一つ「マスターズ」を制覇。
昔は「大人のスポーツ」という印象が強かったゴルフですが、近年では若い世代にも認知されるプレーヤーが増えました。
そんなスタープレーヤーの存在は、さらなるファンや競技者を呼び込む大きな力となるでしょう。
日本プロゴルフ殿堂は、日本ゴルフ界のさらなる発展の為に毎年偉大なプレーヤーを表彰し続けています。
殿堂入りされたゴルファーには殿堂入りの証としてブレザーとクリスタルの盾が送られます。
まだまだ組織の歴史は浅いですが、このような積み重ねの一つ一つがゴルフという競技のさらなる発展に繋がっていくと私は思います。
歴史を紡ぐ、記録と記憶の保管
殿堂入りの選手を表彰する以外にもう一つ重要な役割が日本プロゴルフ殿堂にはあります。
それは
記録と記憶の保管
失われてゆく記憶や過去を掘り起こすために日本プロゴルフ殿堂は
- ゴルフ関連品
- 写真
- ビデオ
- 当事者の肉声
などを収集し保管。
日本プロゴルフ殿堂に保管されている貴重な資料の一部をご紹介します
【小野光一が使用していたパター】
1957年のカナダカップで小野光一さんが使用していた、当時流行のL字型でネックが少し曲がっているパター
【関東プロシニア選手権優勝トロフィー】
1968年創設から1993年まで26年にわたり開催された同大会の優勝トロフィー
これらの資料は現在オフィシャルホームページ上のミュージアムで見ることができます。
更に、公式ホームページでは殿堂コラムを連載。記憶に残る様々な名場面や大会を独自の目線で紹介しています。
これらの歴史的資料は年月を重ねれば重ねるほど日本ゴルフ界の宝となっていき、未来のプロゴルファー達の良い教科書となるでしょう。
殿堂入りの基準とは?
さてここからは殿堂入りプレーヤーに選ばれる基準をご紹介いたします。
ノミネート資格はこちら!
- 表彰年度において満45歳以上であること(但しJLPGAはこの限りではない)
- PGA会員、JLPGA会員及びJGTO会員として通算在籍10年以上であること。(但し、JLPGAは単年登録者を含む)
基本的にはまずこのどちらかを満たしていることが条件。
そして更に1.2の資格者で下記のいずれかに該当している必要があります。
- 男子レギュラーツアー及び女子レギュラーツアーの年間賞金ランキング第1位者
- 日本プロ、日本オープン及び女子レギュラーツアーの年間賞金ランキング第1者
- 男女ツアー競技25勝以上の者
- 日本プロシニア、日本シニアオープン5勝以上の者
- シニアツアー競技15勝以上の者
- 海外メジャー競技1勝以上の者
- 海外ツアー競技3勝以上の者
- 海外シニアメジャー競技1勝以上の者
- 海外シニアツアー競技3勝以上の者
- 世界ゴルフ殿堂入りした者
- 理事会において功績があると認めた者{物故者を含む}
これらの素晴らしい成績がノミネートの基準となります。
現在日本には男女合わせて6000人以上のプロゴルファー存在、その中でもトップ中のトップ、そして日本ゴルフ界に多大なる影響を与えた人物に殿堂入りの資格が与えられます。
過去八年殿堂入りは発表され、各年3~7人のプレーヤーが選ばれています。
今ではプロゴルファーにとって大変名誉ある顕彰となっています。
部門は3部門
日本プロゴルフ殿堂には3つの部門があります。
ノミネート資格があるプロゴルファーはいずれかで顕彰されることになれます。
実際は第1回の顕彰者は戦後の日本ゴルフ界の歴史を作ってきた方々に贈られたため、正式に部門がわかれたのは第二回の受賞からでした。
3つの部門はこちら!
- 【レジェンドプレーヤー】主に1972年以前に活躍し功績を残したプレーヤー
- 【プレーヤー】主に1972年以降に活躍し功績を残したプレーヤー
- 【特別賞】素晴らしい活躍や成績を残した人に贈られる理事会選出による賞
1972年でレジェンド部門とプレーヤー部門がわかれている理由は1973年から男子ツアー制度が施行された為。
ノミネート資格の大会は1973年以降にスタートした大会も多いため、ゴルフ界に偉大な功績を残したオールドプレーヤーはレジェンドとして顕彰されます。
したがって、前述したノミネート資格はレジェンドプレーヤーには適用されません。
さらに、特別賞は日本プロゴルフ界において、素晴らしい偉業を達成されたゴルファーに贈られるため、ノミネート資格は同様に関係ありません。
2019年全英AGI女子オープンを制した渋野日向子プロは第八回の受賞者として20代の若さで特別賞を受賞しました。
次回の第九回では2021年マスターズ制覇の松山英樹プロに特別賞を授与する方向で調整に入っていることも伝えられています。
日本プロゴルフ殿堂入りをしたプロゴルファー
日本プロゴルフ殿堂の偉大な功績をたたえる「顕彰」の第一回は2012年からスタート。
その後2020年の第八回までの受賞者をピックアップしてご紹介!
殿堂入りゴルファーピックアップ
- 中村寅吉(第一回)
- 林由郎プロ(第一回)
- 青木功プロ(第二回)
- 樋口久子プロ(第二回)
- 岡本綾子プロ(第三回)
- 中嶋常幸プロ(第七回)
- 渋野日向子プロ【特別賞】(第八回)
輝かしい成績を残した名プレーヤーがずらっと並んでいます。
戦後のゴルフブームの立役者、6人の賞金王と女王を育てた名コーチ、米賞金女王戴冠プレーヤー、全英を制した若きスーパースターなど、顔触れも様々ですがどれをとっても偉業という言葉がぴったりですね!
受賞者にあの名プレーヤーの名前が見つからない
歴代受賞者を見てみると、一つ気になることに気づくと思います。
世界ランキング最高5位、日本ゴルフツアー通算94勝、賞金王12回を誇り名実ともに日本ナンバーワンプレーヤーとして活躍した「ジャンボ」こと尾崎将司プロの名前が見つからないのです。
現在74歳、いまだ現役を貫くレジェンドはゴルフファンでなくてもその名前を知っている人は多いと思います。
成績はもちろん、ゴルフ界への功績も申し分ない…ではなぜ?
実はジャンボ尾崎プロは第二回に青木功プロとプレーヤー部門で選出されていたのです。
しかし「本人の強い希望により辞退」と発表されました。
ゴルフ界をTV中継の時代から引っ張ってきた青木功プロとジャンボ尾崎プロという二人の同時顕彰は実現しませんでした。
未だに現役にこだわり続ける「尾崎将司プロらしい」と言われればその通りかもしれません。
もしかしたらいつの日か現役を引退した時、ジャンボ尾崎プロの顕彰姿が見られる日が来るかもしれませんね。
未来を拓く歴史と偉業
偉業を称え、未来を拓く。ゴルフから
この言葉に込められた想い
日本プロゴルフ殿堂を今一度まとめると
- 歴史的な偉業や、ゴルフ界に多大なる功績を残した人に贈られる顕彰
- 顕彰だけではなくプロゴルフ界の過去を掘り起こし、失われゆく偉大な記録や記憶を保管する役割も担う
- ノミネート資格は様々、どれも記憶に残る素晴らしい活躍が必要
- レジェンドプレーヤー、プレーヤー、特別賞と3部門に分けて選出
- これまで各年3人~7人程度選出
まだまだ11年と歴史の浅い日本プロゴルフ殿堂は日々プロゴルフの素晴らしい偉業と歴史を未来に伝えていくべく様々な活動を行っています。
しかし、その一方で今回本記事執筆のために日本プロゴルフ殿堂をより詳しく知ってみて感じた問題点もありました。
近年、松山英樹プロ、石川遼プロ、渋野日向子プロのように若者に広く認知されるプレーヤーが台頭。若い世代にもゴルフに興味を持った人が多くいるはずです。
しかし、ホームページやコラムはゴルフ好きの大人に向けてのコンテンツが中心。若者にはとっかかりにくい内容となっているのは少し残念。
さらなる発展には若い世代を取り込むことが必要不可欠。
権威ある顕彰という部分はしっかりキープしながらも、新たなゴフルファンの為に様々なアプローチをすれば殿堂入りプレーヤー達はより輝いていくのではないでしょうか。
未来のプロゴルファーに夢を繋ぐように、偉業や偉大な歴史と共に未来を拓く。
その想いが叶ったとき、日本プロゴルフ殿堂は今よりまぶしく輝くのではないでしょうか。